4部 存在と不在
「存在する・生きている」は tte'u tte'u で表し、存在するものは目的語として接辞と動詞の語幹の間に置きます。 生き物がある場所に「いる」と言うときは、足の有無にかかわらず puattoou puattoou を使えます。 それまで存在していたものが今はなくなっている場合は、形容詞 peu peu を使って [対象] peu. [対象] peu. とします。 一方、過去にも未来にも存在しないものは tte'u tte'u を bo-[対象]-tte'ab bo-[対象]-tte'ab で否定し、存在を否定する対象をその内側に入れます。
村の古い記録
本文
存在するものを動詞の内側に置く
tte'u tte'u で存在を表すとき、存在するものは目的語と同じ位置に入ります。 現在なら X-tte'u、過去なら at-X-tte'u です。 本文の at-nonn-bnatuo-tte'u at-nonn-bnatuo-tte'u では、過去の接辞と動詞の間に「1軒の店」を置いています。
| 形 | 意味 |
|---|---|
| [対象]-tte'u [対象]-tte'u | 対象が存在する、生きている |
| at-[対象]-tte'u at-[対象]-tte'u | 対象が存在した、生きていた |
| bo-[対象]-tte'u-ab bo-[対象]-tte'u-ab | 対象が存在しない |
生き物が場所に「いる」
puattoou puattoou は、生き物がある場所にいることを表します。 元は「立つ」という意味を持ちますが、足のある生き物だけに限りません。 本文では、過去の at-puattoou at-puattoou と現在の puattoou puattoou を使い、店にいた犬が今は村にいることを表しています。
peu peu と bo-[対象]-tte'ab bo-[対象]-tte'ab
peu peu は、以前は存在していたものが今はなくなっている状態を表す形容詞です。 主語のあとにそのまま置き、bnatuo peu. bnatuo peu. のように使います。 これに対し、本当に過去にも未来にも存在しないものは、存在動詞 tte'u tte'u を否定します。
| 形 | 時間の捉え方 | 本文の例 |
|---|---|---|
| [対象] peu. [対象] peu. | 以前は存在したが、今はない | bnatuo peu. bnatuo peu. 店はもうない。 |
| bo-[対象]-tte'ab. bo-[対象]-tte'ab. | 過去にも未来にも存在しない | bo-bnabaa-tte'ab. bo-bnabaa-tte'ab. その宮殿は初めから存在しなかった。 |
bo-bnabaa-tte'ab bo-bnabaa-tte'ab の縮約前の形は bo-bnabaa-tte'u-ab bo-bnabaa-tte'u-ab です。 否定辞の前半と動詞の間に bnabaa bnabaa を置き、tte'u-ab tte'u-ab を tte'ab tte'ab と縮約しています。
「存在したこと」を文書の内容にする
動詞に -oeu -oeu を付けると、その動作や状態を「〜すること」として扱えます。 tte'oeu tte'oeu は「存在すること・生存」を表し、 at-bnabaa-tte'oeu at-bnabaa-tte'oeu で「宮殿が存在したこと」となります。 本文では、このまとまりの先頭に oo- oo- を付け、nent nent の目的語にしています。
文をつなぐ tou tou と atteenen atteenen
tou tou は、前の内容から予想されることに反する文を続ける「だが」にあたります。 1文の中では A-tou-B の形で「B だったが A である」と表せますが、本文のように文を分け、B. tou A. とすることもできます。 atteenen atteenen は出来事を次へ進め、文脈に応じて「続いて」「すると」「その結果」などと訳せます。
本課の語彙
| 語形 | 発音の目安 | 意味 |
|---|---|---|
| tte'u tte'u | /seː/ | 存在する、生きる |
| tte'oeu tte'oeu | /seˈœː/ | 存在すること、生存 |
| peu peu | /feː/ | 以前は存在したが今はない、存在しない |
| puattoou puattoou | /pɑˈsoː/ | 立つ、生き物がいる |
| tou tou | /tuː/ | だが、しかし |
| atteenen atteenen | /ˌɑsiˈjœ̃/ | 次に、そこで、その結果 |
| kuakketuaa kuakketuaa | /kɑˌxeˈrɑː/ | 情報、文書、書類 |
| kebont kebont | /heˈwũʔ/ | 図書館、倉庫 |
| bnatuo bnatuo | /mɑˈru/ | 家、店 |
| bnabaa bnabaa | /mɑˈwɑː/ | 宮殿、屋敷 |
| peene peene | /fij/ | 街、村 |
| bank bank | /wœ̃/ | 犬 |
| kkoook kkoook | /xou̯/ | 読む、把握する |
| nent nent | /jœ̃/ | 言う、表す、記す |
練習
- 「以前、その村には1軒の店があった」をサウォネで書きなさい。
- bnatuo peu. bnatuo peu. と bo-bnabaa-tte'ab. bo-bnabaa-tte'ab. では、存在をどのように捉えているか説明しなさい。
- 「宮殿が存在したこと」を、過去と -oeu -oeu を使って書きなさい。
- tou tou を使い、「店はもうない。だが、犬は村にいる」の2文を書きなさい。
解答例
- 1: at-nonn-bnatuo-tte'u tku-peene tennp. at-nonn-bnatuo-tte'u tku-peene tennp.
- 2: peu peu は以前存在したものが今はない状態を表し、bo-[対象]-tte'ab bo-[対象]-tte'ab は過去にも未来にも存在しないことを表す。
- 3: at-bnabaa-tte'oeu at-bnabaa-tte'oeu
- 4: bnatuo peu. tou bank puattoou tku-peene. bnatuo peu. tou bank puattoou tku-peene.