3部 単数・少数・複数

前の課では、人や物を指す語を学びました。本課では、名詞が表す対象を一つのものとしていうか、複数のものとしていうか、ある一つ・一部分として取り出すか、についての表現を確認します。

サウォネの名詞には、無標の形、複数を表す et- et-を付ける形、少数を表す pue- pue- を付ける形があります。 頭に付ける et- et-, pue- pue- はそれぞれ複数辞と少数辞と呼びます。

三つの形

区分 形 使い方
単数 名詞そのまま 一つのもの、または名詞が表す種類・概念そのものを指す
複数 et- et- + 名詞 複数のもの、または集団全体のそれぞれを指す
少数 pue- pue- + 名詞 名詞が表す概念のうち、ある一つ・一人・一部分を指す

少数の pue- pue- は、単に「数が少ない」ことを表すわけではありません。 たとえば「犬」という種類を表す bank bank に付けると、pue-bank pue-bank は、文脈の中で取り上げているある一匹の犬を表します。 あらかじめ犬の群れが話題になっている必要はありません。

名詞で見比べる

まずは、接辞の境目が見えやすい語で比べてみましょう。

名詞 複数 少数 意味の目安
kuek kuek et-kuek et-kuek pue-kuek pue-kuek 鳥/鳥たち/ある一羽の鳥
bank bank et-bank et-bank pue-bank pue-bank 犬/犬たち/ある一匹の犬
tokke tokke et-tokke et-tokke pue-tokke pue-tokke 木/木々/ある一本の木

語ごとに定着した意味

接辞を付けた形には、基本の意味から少し離れて、語として定着したものもあります。 たとえば pue-koen pue-koen は、koen koen(歌)に 少数辞 pue- pue- が付いた形で、「歌や詩の一節」を表します。

第1部で出てきた etou etou(あなたたち)も、この et- et- を ou ou (あなた) に付けた形です。 慣例的にレノテが省略されています。

まずは et- et- と pue- pue- の基本の働きを覚え、個々の語で定着した意味は語彙として少しずつ覚えていきましょう。

本課の語彙

語形 発音の目安 意味
et- et- /e/ 複数を表す接頭辞
pue- pue- /pe/ 少数を表す接頭辞
kuek kuek /kex/ 鳥
bank bank /wœ̃/ 犬
tokke tokke /tuˈxe/ 木、大きめの植物
pue-koen pue-koen /peˈhœ̃/ 歌や詩の一節

確認

  1. et-bank et-bank と pue-bank pue-bank の意味の違いを説明しなさい。
  2. 「木々」と「ある一本の木」を、それぞれサウォネで書きなさい。
  3. 「鳥たち」と「ある一羽の鳥」を、それぞれサウォネで書きなさい。
解答例
  • 1: et-bank et-bank は犬たち、pue-bank pue-bank は文脈で取り上げるある一匹の犬。
  • 2: et-tokke et-tokke、pue-tokke pue-tokke
  • 3: et-kuek et-kuek、pue-kuek pue-kuek