1部 人を呼ぶ、「〜は〜だ」
ここからは、サウォネでの簡単な会話を学んでいきましょう。
第3章の最初の本課では、実際の短文に触れながら人称代名詞と、日本語の「〜は〜だ」にあたる名詞の並置を整理します。 サウォネには「だ」「です」にあたるコピュラがないため、述語は名詞の並置そのもので表現されます。
また、人に呼び掛けるときには、呼びかけの接頭辞 kke- kke- を用います。文法用語ではこの形を呼格といいます。
人称代名詞の一覧
サウォネには、日本語の「私・あなた・彼」に相当する語が文頭の主語として使われます。 一人称にはくだけた pu pu と、丁寧な akke akke があり、ここではまず pu pu を用います。
二人称は、丁寧な konn konn と、くだけた ou ou があります。 「あなたたち」は、複数の接頭辞 et- et- を単数の二人称につけて表し、etou etou や etkonn etkonn といいます。
三人称の oeup'oubne oeup'oubne は彼・彼女・あの人を、複数の etoeu'bne etoeu'bne は彼ら・彼女らを指します。
| 単数 | 複数 | |
|---|---|---|
| 一人称 | pu pu、akke akke | etpu etpu |
| 二人称 | konn konn、ou ou | etou etou、etkonn etkonn |
| 三人称 | oeup'oubne oeup'oubne | etoeu'bne etoeu'bne |
代表例:掛け合い
初対面の教室で、教師のマネユ(bnanuene bnanuene /maˈnej/)と受講者のベン(buenn buenn /bœ̃n/)が話しています。
会話
マネユ
ベン
マネユ
ベン
文法のポイント
コピュラを使わない「〜は〜だ」
サウォネには「だ」「です」にあたるコピュラがありません。 「A は B だ」は、名詞や名詞句を並べるだけで表します。 文法の説明では、主語と述語の形を示すためにメタ変数として A B と書くことがあります。
参考例
否定の「〜ではない」には、述語のあとに bnup bnup を置きます。 たとえば述語が名詞なら、名詞の直後に bnup bnup を続け、ketkoote bnup ketkoote bnup のような形になります。
呼びかけと呼格
人称代名詞の前に kke- kke- を付けると、相手を名前のように呼びかける響きになります。 会話の一行目は、丁寧な二人称 konn konn に対して kke-konn kke-konn とし、「ねえあなた」と場を開いています。 くだけた二人称 ou ou なら kke-ou kke-ou となります。
本課の語彙
語形の欄は、左からサナフナナ表記とラテン転写を並べています。
| 語形 | 発音の目安 | 意味 |
|---|---|---|
| ketkoote ketkoote | /heˈʃote/ | 教師、先生 |
| koaboote koaboote | /hɑˈwoːte/ | 学生、学習者。「学ぶ」を意味する動詞 koabou koabou に行為者を表す接尾辞 -oote -oote をつけて「学ぶ人」を意味します。 |
| ttubooneu ttubooneu | /səwoˈneː/ | サウォネ |
| ketka tte-kkoun ketka tte-kkoun | /heˌʃɑsiˈxũː/ | 人工言語。話すことを表す ketka ketka と「人工の」を意味する tte-kkoun tte-kkoun の複合です。 |
| koabou koabou | /hɑˈwuː/ | (~を) 学ぶ、勉強する。 |
| bnup bnup | /mə/ | 述語が〜であることの否定。コピュラに相当する働きをする語です。 |
| tann tann | /tœ̃n/ | 屈強な、頑丈な |
| ton ton | /tũ/ | 男性 |
練習
-
次の日本語をサウォネ語で書きなさい。
- 私は教師だ。
- 彼女は教師ではない。
- 私たちは人工言語を学ぶ。
-
次の文の空所に入るのにふさわしい人称代名詞を一つ選びなさい。
あの人は教師だ。
_____ ketkoote.
解答例
- 1.a: pu ketkoote. pu ketkoote.
- 1.b: oeup'oubne ketkoote bnup. oeup'oubne ketkoote bnup.
- 1.c: etpu ketka-tte-kkoun-koabou. etpu ketka-tte-kkoun-koabou.
- 2: oeup'oubne. oeup'oubne.