2020年11月21日の夢。
珍しくゾンビゲームをしている。敵の攻撃に合わせてタイミングよく攻撃。スマホの簡単操作でゲームが苦手な僕でもすぐに戦い方がわかった。バン、バン、バン。調子が良かった。しかし、次の攻撃に踏み込んだ僕は背後の敵に気がついていなかった。その瞬間、「GAMEOVER」の文字列が画面に現れるまもなく、目の前が真っ暗になった。
目覚めると見に覚えのない場所に居た。どうやらここは学校のトイレのようだ。タイル張りの部屋、一見なんの変哲もないが、違和感がある。 薄暗い。
廊下、電気がついてない。
隣の教室へ入ってみる。
生徒達は死んでいる。
死に方は様々だが、肉体が崩壊している者もいる。
彼らは教室に入ってきた僕に好奇の目を向けた。あまりガラが良くないように見えて、僕はどうしたものかと戸惑った。
先生が手でどうぞと中に入るよう促すので、訳もわからないまま空いている席に座る。
黒板を見た。世界史の授業をしているようだ。
それからまもなく、授業終了のチャイムが鳴る。一斉に生徒達は立ち上がって各々散り散りになる。生徒の一人から声をかけられた。見上げるほど背が高い。紺色のブレザーと赤茶のボタンが特徴的だ。
先程の紺のブレザーの男子と女生徒と仲良くなった。
女生徒は僕と同じように、死んでいるようには見えなかった。彼女もここに迷い込んだ人間だろうか。
何故か今は暗い部屋にいる。外から人の声が聞こえる。
「ほら、あそこに見えるのがターゲットです」
「ターゲット……?」
今僕は校長室にいた。隣には女生徒と校長先生と思しき人がいる。三人で大きな窓から外を覗いている。
校長先生は年齢こそかなりいっているようだが、背筋はシャンとしていて、若々しく見える。緑色のブレザーと灰色のスラックスを身に着けた彼は、この薄暗い世界には似合わないように思えた。
「ターゲットというのは、上、つまり現世とこちらのつながりを表す点です。こちらで指定したターゲットは、現世でも同等の座標位置に現れます。我々は自由自在にターゲットを設定することができるので、それらを星座のように結んで、現世とのつながりを保っているのです。」
「なるほど」
何もわからず混乱している僕を横目に彼女が先に答えた。果たして理解しているのかはわからない。
ところで、ここに来てから初めて学校の外を見た。あまりにも普通すぎて気が付かなかったが、それは「地獄」にしてはあまりに現代的で、あまりに現世と変わりなかった。自分が生きているのか死んでいるかもわからないまま、その「地獄」に感動していた。
ふと校長先生の話を思い出す。もしターゲットでこっちとあっちを繋げているなら、僕らは向こうに戻ることだってできるんじゃないのだろうか。ぼんやり頭に浮かんだその考えは、何故かいけないことのような気がして口に出すことができなかった。きっと彼女もそんな気持ちなんじゃなかろうか。
校長先生の話が続いていった。