螺幵宿

2020年7月29日の夢。

なんとか郷とかなんとか宿とかいう有名な観光地に家族で来た。

車から降りると、1m四方程度の幅しかない鳥居がずらずらと渦を巻いて並んでいるのがわかった。これが入り口だ。それを屈んだり這ったりしながら抜けていく。幼い私には容易だが、大人がここを通るのは多少きついだろう。ところで、僕はなぜか上はダボダボのTシャツ、下は裸という奇妙な格好で来てしまっていた。這った際、後ろにいる大学生らしき女性に笑われていたのを覚えている。

鳥居を抜けると、そこには大きな建物が、これがなんとか宿だ。入ると3つの道が分かれていて、左は食堂、中央は売店とゲーセン、右は廊下がある。きっと右には泊まる部屋がある。

と、鳥居を抜けた途端にみんな散り散りになってしまったようだ。これは良くない、探さなければ。
まずはゲーセンを探そう。ひととおりうろうろしてみるが見つからない。もしや宿には入っていないのだろうかという疑念がよぎり、裏側の玄関から出てぐるりと宿を回ろうとした。すると、売店にいた老婆が声をかけてきた。

「どこへゆく」
「どうかしましたか」
「ここで存分に楽しみなさい」

と話す老婆の眼光は鋭く、私の体はこの宿に縛りつけられてしまった。言葉の真意はわからなかったがここを出てはいけない、そう直感した。