ヨハトの月

2020年4月27日の夢。

今晩の空には月が二つも浮かんでいるように見える。

電話越しに友人にそれを伝えるが、「そんな馬鹿なことがあるか」と嗜められる。 赤く抉れた二つの月は、まるで蜃気楼のようにぼわんと空に浮かんでいる。

そうしているうちに、雲が晴れてくる。一つ、また一つと月が顔を出す。

「おい、十二も月がある」
「そんなことあってたまるか」
「いいから空を見てみろ」
「わかったわかった…なんにもないじゃないか」
「あれえ?確かに浮かんでいるようだが」
「夢でも見てるんじゃないか、早く休むことをすすめるよ」

私にしか見えないらしい空のあれは、徐々に姿を現してゆく。空に見えるのは月、それを囲う円、それを囲う正六角形、また六つのそれを囲う正三角形。それらが集まって変形十二面体を成している。 六つごとに円の中身が違い、向こうは月だが、こちらは時計、そちらには目が睨んでいる。

これは夢なのだろうか。夢、そうかこれは夢なのだ。自分が夢を見ていることに気がついた私は目を開ける。

変な夢だった、と先程までに見たものを書き留めに行こうとする。するとそこは見覚えのない場所。多分、テレビスタヂオだろう。

ふと気づく。天井一面に先程の変形十二面体があることに。これは何かがおかしい。先程夢から覚めたことが正しいのであれば、これは幻覚か何かだろうか。 と考えていると今度はアパートの一室にいる。当然のごとく天井には変形十二面体がある。 家主であろう者も居た。 彼はこう話す。

「何もおかしいところはないですよ」

と。